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建物のお引き渡し

diary

IYs井上です。

9月10月は、建物のお引き渡しラッシュでした。横浜市の鶴見の住宅に始まり、品川区の住宅、世田谷区の住宅と続く。それぞれの家に、それぞれの想いがあり、1つとして簡単な現場はなく、1つの建物が完成するには大変な労力と気力と根気が必要で、少しでも気を抜くと一気に色々な問題が押し寄せてくるような感覚があるので、常に気を張っている状態のこの頃です。

さて、先日は、世田谷区の現場の建物お引き渡し。細々した残工事がいくつかありますが、残るは外構で建物を先行してお引き渡し。こちらの現場は、敷地に送電線の鉄塔の脚が食い込んでいる変形敷地。一般的な矩形の敷地ではない上に、ある程度敷地一杯に建物を立てなければ面積も確保できない状況でした。


グレーの床

結果的には、敷地に歪に食い込んだ送電線のラインを手掛かりに、むしろその斜めにふられた角度を住宅のプランに取り込んで、直交する空間のない豊かな空間がつくれたように思います。


スキップフロアの隙間から、人がみえる

フロアは、スキップフロア形式で、段々と上階へと上がっていく構成に。床の素材感や壁の素材感を少しずつ変えながら、山を登っていくように、上下に移動するたびに見える風景が異なるように設計しています。


LVLの壁。LVLはいつも無塗装にしている

内部の素材は、ラーチベニヤやLVLといった木の加工材を多用しています。こうした木の使い方は、なかなか難しく、安易につかってしまえばすごく安っぽくも見えてしまい、雑な感じにも見えますが、素材の切り替えや割付、照明の当て具合などを駆使して、安価な素材でも全体としてまとまりと質感のある空間にすることを意図してます。

キッチンは造作。造作といっても、家具屋さんに頼んでいるのは扉のみで、あとは大工さんの仕事。今回施工していただいた坂牧工務店の大工さんは、家具屋さん並みの精度と細やかさで、非常に見栄えのする家具をつくってくれます。集成材で内部を組み、塗装や左官にて仕上げてます。天板はモールテックス。モールテックスも色がたくさんありますが、だいたいグレーになる。


ワインセラーと2列型キッチン

最近は、2列型キッチンを提案することが多いです。住宅の中で、台所というものは長らく奥の方へと追いやられてきましたが、近年では食卓とキッチンは近いところにあり、キッチンが空間の中心に来ることも多ので、そうなることが多いのかもしれないです。床がグレーなので、アイランドの方は木の色味を生かしてます。天板はモールテックス。ワインセラーも、あらかじめ組み込む予定でサイズを把握し、キッチンに入れ込んでます。

キッチンに木を使ってもよいのかと思う方もいるかもですが、意外とウレタンコートすれば普通に使えます。

洗面も造作洗面としました。木の温もりが好きな施主様だったので、天井も構造材が表しとして、木に包まれるような洗面台に。こちらも大工造作の作品。スイッチ関係は、今回はシンキンプレート+フルカラーのグレーをチョイス。新金属プレートは、ビルなど公共施設にて使われることが多く、住宅では樹脂のプレートが多いです。何故なのでしょうか。。。私たちは、素材の質感がある方が好きなので、木を使うときは金属プレートを合わせてます。樹脂のものも使います。

照明は、色温度2700K(ケルビン)の電球色にて構成しました。ただ、キッチンや作業場は、色温度の切り替えができる状態にして、白い光にも変更可能に。電球型の照明は、白熱灯ではなく、LED。長持ちしながら、見た目もレトロな感じで心温まる空間に。ただただ暖かいだけでは、やぼったくなるのでダークグレーの色合いを、レバーハンドルやブラケット照明の器具、ペンダントライトの器具、金物系等に入れて、インテリア全体を引き締めてます。壁は、ビニルクロスですが、こちらも現場で悩んだ末に決定したもの。

今回の電球照明はオーデリックのものですが、とても演色性や色の具合がよく気に入ってます。ダウンライト等はダイコー電気のものをよく使ってます。ダウンライトも種類はたくさんあり、場所や高さ、天井の色や機能に応じて使い分けてます。選ぶのも一苦労ですが、明かりが灯って室内が照らされたときは、その苦労も吹き飛びます。

最近は、電気の光の質も良くなっており、演色性の高い電気が多いので、電気がついたときに室内が少しラグジュアリーな雰囲気になるように感じます。演色性とは、光が当たったときに、物が鮮やかに見える性能の事。これがよいのもを使うと、テーブルに置かれた料理も、素材そのものの色がより鮮やかに見え、よいおいしそうに見えます。ダイコーだと「トキメキ」という種類のダウンライトがそれです。

こらから外構の工事と植栽の工事が始まります。インテリアも家具が入ることでより一層スケール感がでて、生活というレイヤーが加わることで生きた空間になるのが楽しみ。明るく開放的な室内なので、植物もたくさん育ちそうです。