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植物と建物の形について

diary

IYs井上です。

気が付けば早くも12月は上旬を過ぎようとしており、クリスマス近辺や年末年始の話がでてきているこの頃。1年は早いです。

IYsも気が付けば2017年にスタートしてから4年が経過し5年目のシーズンとなっていました。幸運なことに様々な場所や条件で、住宅をはじめとした建物を数多く設計させていただき、ホームーページにのっている設計事例も多くなってきました。

そんななかで、ふと事例の全体をみてみるとなんとなく似ている雰囲気もあり傾向があるなと感じました。あまり作風をつくろうと意識することはないのですが。

ただ、建物を設計する時に気にしているポイントが近いとできる形も似ているのかなと思いました。それは、植物の成長と形の変化にもにているなと思います。

植物を育てるのが好きなのですが、植物の葉っぱの形や成長の過程は似ているようでその植物が生えている環境によって少しずつ違っています。似ているけど全てが違っているのはすごいことですが、すべては、より種を絶やさずに成長し繁殖していくという単純な方向へ向かっている結果そうなっているのだと。植物は、光が差し込む明るい方へ葉っぱの向きを変えてます。鉢植えの植物もぐるっと回すと1週間くらいで、光が差す向きに葉っぱがあるのが不思議。

より光を受けて、その場所場所で栄養がとれて繁殖できる形状に自然になっていっているのだと思います。

建物と植物は違いますが、建物も似たようなところがあり、人が住むうえでその建物が建っている周囲の環境や取れる素材等に多く影響されていて、そうして視点で世界の建物をみるとても興味深いです。


農村部の建物


丘に建つ建物


海辺の岸壁の建物

平らな場所なのか、農村部なのか、漁師の家なのか、農家の家なのかなど、、、条件によって建物の形状がかわってます。

私も設計する際に考慮する点は、いつも様々ですが、常に考えていることもあり、ひかりがたくさん入ってきて明るいか、空間は狭苦しくないか、居心地が良いか、周囲の家とのバランスは悪くないか、効率よいプランになっているか、周囲への圧迫感はないかなど、、、、多岐にわたりますが、そうした基本的なことを考えていると、おのずと建物の形状が似てくるのかなぁとも思います。

逆に言うと、それ以外のことはあんまり考えていないのかもしれないのですが、現代の住宅ではそうした、基本的な人間が根源的に欲する条件ではないものもたくさんあります。

他人に見られたときに見栄えがするものでありたい、かっこよいものがよい、豪華にみせたい、個性的な建物にしたいなど。こうした要素は、人間が生きていく上ではそこまで重要ではないと思うこともありますが、現代では、輸入すればどこからでも材料が手に入り、工場生産された流通品が出回っているので、環境や条件に関わらず建物の形状は自由になっています。商業活動や経済の原理から導かれる形も多くあります。

なので都市の街並みをみると、どこへいっても同じような街並みということが発生しますが、これもまた現代の環境によるところなのかもなぁと思ったりもします。

どちらかといえば、そうした現代の条件には関わらず根源的に人間が欲する空間をつくりたいなと思っていて、植物や土着的な建物のようにすごく単純なものに魅力を感じてしまうこの頃。世の中が複雑化していくほど単純なものをつくりたい欲求に駆られてます。