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設計に特化した設計事務所だからできること、大切にしていることをご紹介します。

設計事務所ってなに?

設計事務所ってなに?

~価値が長続きする空間~

 私たち設計事務所は、ハウスメーカーや工務店とは異なり、設計のみに特化した組織です。これほど沢山の工務店やハウスメーカーがあり、設計もしているのに、何故設計だけの会社があるのでしょうか?

 その理由は、ただ1つ・・・「設計という行為が、とても難しいから」

なのです。もちろん、簡単に済ませてしまえば、5分で描けるプランもありますし、営業マンが簡単な間取りソフトで作ったものをそのまま建てるメーカーも存在しますが、個別の敷地、個別の法規、個別の要望に対して、的確にフィットする空間を設計し、なおかつある一定の整った状態をつくることは、とても難しく検討にも時間がかかります。

 私たちは、50年、100年と少しでも長く価値が持続する建物をつくるために、複雑な解析が可能な構造技術者や、細かな造作のできる職人たちと協業し、敷地に合ったプランニングや、耐震性を担保した広々とした空間を、設計に特化することで実現しています。

 表面的な設備は時が経てば劣化しますが、明るい日が差し込み、いつまでもそこにいたくなるような空間的価値は、時が経っても劣化しません。空間的な価値が持続する建物であれば、表面的な設備のメンテナンスを行えば、その建物自体の価値もいつまでも続いていきます。

 豪華な設備や、イメージが先行した見せかけのオーダーメイドではなく、本当に満足できる設計を提供したい。設計事務所に依頼すること自体、日本では馴染みが浅く敷居が高いと感じることもあると思いますが、検討している大手メーカーと比べても、同程度の価格帯で実現できることが各段に増え、より多くの満足を得られることは、まだまだ知られていないことなのです。

心地よい起伏をつくる

心地よい起伏をつくる

~断面空間の設計~

 私たちは、澄んだ空の下や、木漏れ日のある公園のベンチのように、理由なく心地よいと感じられる空間をつくりたいと常日頃考えています。温かな日差しが差し込むダイニングや、居心地のよいリビングは、そこにいるだけで人を幸せな気分にしてくれます。

 私たちは、心地よい空間をつくるために、設計する空間をなるべく仕切らず、ワンルーム状に連なる空間を多く提案しています。ただただ、広いだけではなく、それぞれの居場所は心地よいスペースでありながら、緩やかに連なる空間です。壁で仕切らないことで、空間の様々な場所から光が入り、また視線が外部へと抜けていきます。

 「家づくり=間取り」と考えることが一般的かもしれませんが、私たちが考える設計では、間取りは全体の中のほんの一部。間取り(平面図)を考えること以上に、高さ方向の検討を重ねた「断面空間」を設計することが、一般的なハウスメーカーや工務店と最も違う所だと思っています。

 大きな家でもたくさん仕切れば、体感的には小さな空間になり、小さな家でも上手に繋げれば、とても広い家に感じることもできます。私たちは、そうした空間を「起伏あるワンルーム」と呼んでいて、路地が入り組んだ街角や、木々が連なる公園のような、直感的に人が心地よいと感じる空間であると考えています。

 図面、CG、模型、、、私たちは同じ敷地でも、いくつも別角度、別案での検討を行い、様々な可能性をさぐることで、要望や敷地条件にフィットする、無駄のない機能的な空間をつくります。

 こうした検討方法は、とても時間がかかります。規格化することで得られる、生産性や、人件費が削減できるメリットはないのですが、プロジェクトごとの立地やクライアントと向き合い、小さな調整を繰り返すことで、細かな要望を空間に馴染ませ、「長期にわたって価値が落ちない」心地よい空間を設計できるのです。

素材を大切にすること

素材を大切にすること

~手仕事の質感と温もりある空間~

 私たちは、日常的に使う家具や、壁、床、手摺など小さな部材の質感を大切にしています。間取りや空間構成が良くても、日常的に目に触れる、手に触れる素材感がなければ、空間そのものが味気ないものとなってしまいます。

 工場で製作する既製品は、生産性が高く費用的にも安価なものが多いですが、人工的につくられた機能的な素材は、表面的な質感が失われていることも多く、使い方によっては空間全体の居心地の悪さにもつながりかねません。

 毎日使う、洗面台や、キッチン、ベンチなど予算に合わせて、出来る限り手作りの家具で構成したいと考えています。小さな手すりや、カウンターの端部など、職人の手仕事の質感が感じられるものは、視覚的に見ていても温もりがあり、安心感のある心地よさに繋がります。

 こうした設計における感覚的な部分は、なかなか言葉で表現することは難しく、残念ながら商品化されていく住空間の中では一番先に排除されやすく、「安価だけどキズが付きません」的な目先の機能性ばかりを謳った商材が多く使われています。

 私たちは、こうした排除されやすく、ともすれば扱いずらい素材の特性を読み解きながら、空間に落とし込むことで、いつまでもそこにいたくなるような、心地よい空間を設計したいと考えています。

全体のディレクション

全体のディレクション

~窓口の統一で負担を軽減~

 いざ家づくりを考え始めると、解体、ローン、諸費用、設計、工務店の選定、、、何から始めてよいかわらず、インターネットを検索すればするほど、様々なことが書いてあり、施主の気苦労は増えるばかり。さらに設計事務所とつくるとなれば、工務店選びや資金計画、その他諸々は自分でやらなくてはならないのでは?と思うとハードルはさらに高くなってしまいます。
 
 IYsでは、資金計画から、不動産のこと、敷地の造成、インフラ整備、解体、測量、外構、登記など、家づくりに関わる煩雑な業務を設計者がワンストップで案内できるようにしています。

 延べ数百棟を超える住宅から公共建築までの設計監理の経験を元に、多岐にわたる煩雑な作業を設計者が窓口として案内することで、クライアントの負担は大幅に減ります。

 また、工務店や代理店を経由することで発生する経費を削減することができ、施主の時間的な負担も大幅に軽くなりますので、施主が建物の検討に集中することができます。「あああしたい、こうしたい」という要望さえあれば、あとは設計者である私たちが、方法や道筋を考えサポートしています。

 建物の完成まで、総合的なディレクションを行うことで、施主にとってストレスのない安心できる建築計画の提供を行います。

夏涼しく・冬暖かい

夏涼しく・冬暖かい

~性能を妥協しないデザイン~

 大きな吹抜や窓があっても寒くないの??答えは、、、そんなことはありません!

 快適な空間をつくるために、建物の性能設計は、とても大切な部分であると考えています。暖房設備のない廊下や脱衣所も温度差が少なく、夏すずしく、冬暖かい家づくりのために、1棟ごと異なる建築形状に合わせた温熱性能計算を自社で行い、建物のデザインと性能のバランスがとれた建築の設計を行います。

 コストとのバランスもありますが、2023年以降では、HEAT20のG2※レベル、断熱等級でいえば6という基準が今後の目標値になっていくと考えています。住まいの外皮性能(外部と接する部分の断熱性能)を高めることで、内部は吹き抜けや、スキップフロア等、抜けのある空間と相性が良く、プランにもよりますが、30坪程度の住宅でも、夏もエアコン一台で過ごせる程度の快適な室内環境をつくることも可能です。

 IYsでは、上階や小屋裏に発生する熱だまりを、基礎内へとダクトにて循環させることで、基礎内の一定な熱環境を利用し、室内の空調を行う自然循環システムを積極的に採用しています。プランにもよりますが、このシステムを利用することで、基礎内は常に空気が循環し、夏場2階だけが暑いというような状況を回避し、家全体の熱環境を均一に近い形に保つことが可能なのです。

 設計事務所は見た目のデザインばかりで、性能設計は不得意、、、という前時代的な発想ではなく、これからは、地球温暖化や脱炭素社会への対応を見据えた、デザイン性と性能を両立させる、バランスよい建築の在り方が強く求められていくでしょう。

※6地域で室内温度が概ね13℃を下回らない性能が基準。外皮性能でいうとUa値0.46W/㎡・K以下。

地震に強い家をつくる

地震に強い家をつくる

~1棟ごと細かな解析を実施~

 大きな窓のある広々したリビング、天井の高い抜けのあるスキップフロア。耐震性は担保されながら、様々な魅力ある空間を実現するために、私たちは、特殊な構造計算ができる専門の構造設計者と協業し、1棟ごとに異なる構造解析を行うことで、無駄を省いた合理的な構造計画と、耐震性を兼ね備えた空間を両立させています。

 効率を優先した、簡易的な構造設計では実現できない空間も、時間をかけて細かな構造解析を行うことで、実現可能な空間が大幅に広がり、明るく広々した空間を実現することができます。

 単純に耐震等級が高いだけでも、バランスが悪い建物は倒壊しやすく、建物の荷重を考慮しバランスよい構造を実現することや、大きな揺れによる部材の損傷を最小限とするための、制振ダンパーの設置等、様々な側面から地震に強い建物を設計します。

 それぞれの立地、要望、物件ごとに考案した空間は、必ずしも定石の工法で組み立てられるわけではないので、時には新しい工法や構造形式も考えます。設計した空間をどのように実現するのか、構造設計者と意匠設計者、施工者が一体となり、新しい空間を現実のものへと落とし込んでいきます。

 構造、工法はプロジェクトごとに様々ですが、木造、鉄骨造、RC造、SE工法、パネル工法等、あらゆる構造、工法から、コストや施工性等を考慮し、合理的な構造形式を提案します。

メンテナンス・耐久性について

メンテナンス・耐久性について

~デザインと施工性の両立~

 見た目のデザインばかりに気を取られ、施工性やメンテナンス性能を無視すると住んだ後に大きなメンテナンスが必要になってしまいます。

 事実、代表である私は、前職で施工性の悪いデザイン重視の建物(別会社工事のもの)の雨漏りリフォーム工事の現場に度々立ち会ってきた経験もあり、施工性の悪い複雑な部材の納まりは、意図しない不具合を誘発し、長期的な施主の負担増になるということを身をもって経験してきました。

 メンテナンス頻度を増やせば、納まりが悪い建築でもなんとかやり過ごすことはできますが、出ていくお金が大きければ大きいほど、建物に対する施主の想いは薄れていきます。特に戸建て住宅の場合は、雨や劣化に対してどのように配慮するかという部分が、大きな課題となることが多いです。

 ちょっとしたデザイン的な配慮をすることで、メンテナンス頻度が減ったり、新しい素材について探求し積極的に採用することで、日々建物仕様を更新し続けています。

 私たちは、すべてのデザインについて、施工性やメンテナンス性を念頭に置きながら、機能性、コスト、デザイン性と複合的に検討し、快適で長持ちする建物を設計しています。

施工について

施工について

~高い品質をつくる職人と現場監理~

 心地よい空間、美しい空間を設計するために、私たちは、日々ミリ単位の調整を行い、建物全体のデザイン的なバランスを考慮しながら設計を行っていますが、そうした細かな指定が多い建築は、誰もが施工できるわけではありません。

 近年の住宅建築は全てが規格化され、予め工場で加工された部材を組み立て、出来合いの家具を据え付けるだけでできてしまうものが多く、現場での加工や経験がそれほど必要のない工程も多く、職人も細かな現場での造作が不得意、もしくはできないことが多いのが現状なのです。

 設計者としては、既製品を適度に組み合わせながらも、本棚や洗面台など、日々目に触れる部分は温もりが感じられる手作りの造作もので設えたいという想いがあります。

 私たちは、そうした現場での造作や、細かな施工的配慮ができる熟練した施工者と協業し、且つ設計者として現場での細かな打合せを伴う設計監理を行い、設計図に基づく品質の高い建築空間を実現しています。

 設計図が出来上がっても、図面で伝えられる部分は、実際にできる建築の8割程度、残りの2割は現場で直接職人と打ち合わせを行い、決定していきます。こうした小さな打合せの積み重なりが、できた時の精度や空間の美しいバランスにつながっていきます。

予算に応じたコスト計画

予算に応じたコスト計画

~無駄を省いて適材適所~

 規格を設けず、1から設計していく建築は、時間も手間もかかりますが、私たちは、安く早くできるものよりも、丁寧に考え時間をかけてつくることで、長期間にわたって安心して気に入って使っていただけるものを作りたいと考えています。
 
 建物全体のコスト配分は、各会社によって様々ですが、私たちは不要な経費を削減し、設計でのコストを抑える工夫で、必要な所に予算を配分し適正な価格となるように日々尽力しています。

 全てが特注で、高級な設備仕様を選べば、あっという間に予算オーバーしますが、施工しやすい工夫やコストを抑えられるプランニング、分離発注の工夫など、力を入れる場所と力を抜く場所を切り替えることで、全体の総費用は驚くほど変わってきます。

 また、私たち設計事務所には設計士のみが在籍し、協業する工務店も、住宅展示場のような高額な広告宣伝と営業経費をかけているわけでもありません。かかる費用は、実質的な材料費と作業人件費となります。

 工務店は工事に集中し、設計業務は設計事務所へと割り振ることで、本当に必要なものに費用を割くことができるので、余分な経費を削減することができ、大手他社と同程度の費用であったとしても、できる建築の内容が大きく飛躍することもあります。

 また、プランや仕様に規格を設けないことが、予算に応じた個別の建築計画を可能します。基礎工事や木工事、材料費、施工費等の中で更に細かな材料の内訳を出し、それらを調整することで、予算に応じたコスト配分を可能にし、プロジェクト全体のコストコントロールができるようになります。

 例えば、本棚の工事であれば「1式=¥〇〇〇」ではなく、そこに発生する材料費、運搬費、施工費、塗装費、等を1つ1つ切り分けて確認することで、部材の効率よい選定や塗装の種類、施工のやり方等で全体のコストを調整することができます。

 大量に仕入れ大量に供給することで単価を下げる手法は、仕様選定に制約がかかり、それらを外れると割高な費用提示を受けることもあり個別の仕様選定対応が難しくなります。1つ1つ個別の見積もりを算出する作業はとても時間がかかりますが、私たちは、予算に応じた柔軟な建築計画を可能にするため、こうした規格を設けない見積もり方式を採用し設計しています。

 とはいえ、家一棟まるまるオーダーメイドに近い形になれば、打ち合わせを重ねるうちに費用も積み重なっていくもの。そこからは、設計者である我々が、全体の出来上がりイメージをキープしつつ、コストが削減できる項目をピックアップしリスト化することで、施主にもわかりやすいコスト調整を行っています。

 数百点にわたる、建材や施工部位など、各項目ごと1割ずつでも削減できれば、全体としては大きな減額につながります。プロの目線で、必要なもの、不要なものを案内することで、本当に必要な部分のみにお金をかけることで、質の高い建築を予算に合わせて設計していきます。

アフターフォローについて

アフターフォローについて

~生涯の相談相手になる~

 建物の保証は各工務店により変わりますが、最低限の保証基準として、「瑕疵担保保証(10年保証)」、「地盤保証」、「白アリ保証」の保証を基本としています。各種保証については、掛け金を変更することで、延長保証を受けることが可能です。

 また、設計者として初期点検に同行することや、建物に不具合があった際のフォロー、増築、改築、メンテナンス方法等の相談は随時無料にて行っています。長期間自分たちで決めて設計を行った住まいは、愛着も湧くもので、みなさま大切に住まわれています。そうした、住まいに対する愛着が建物を長持ちさせる1つの要因であるとも思っています。

 私たちの設計事務所には、みなさん色々な経緯でたどりつくのですが、

「もっと早く問い合わせをしていればよかった、、、。」

と言っていただくことも多く、あらためて設計事務所という敷居の高さをもっと低くしたいと思う今日この頃です。建物が完成するまでは長い間、様々な打合せを行いますし、紆余曲折で困難を施主と一緒に乗り越えていくこともあります。

 そして、完成した後も、一生涯相談してもらえるような関係性を築くことが、私たち設計者の一番のアフターフォローなのではないかと思っています。