WORKS

水平連続窓のオフィス改修

Tokyo,2021 officepublic

OVERVIEW

東京都港区にある築30年程経過したRCビルのオフィスへの改修計画。

名古屋に拠点を置く老舗の化粧品メーカーの東京拠点をつくるため、本計画を実施した。

既存建物の状態は比較的良く、手を加えずともそのまま使える程度に定期的な改修が行われている状態だったが、用途が変わることもあり、残すエリアとスケルトン状態にして更新していく部分を分け、改修を施した。1F、2F部分は、インテリアの色調を含めた模様替えを行い、3階部分は半分をスケルトン状態として新たなオフィス空間として作り替えている。排水や空調などのインフラも傷んでいる部分は更新し使える部分はそのままとしている。

既存のインテリアは木目や、ベージュ、ブラウンのテイストが主であったが、更新した改修部分に関しては、ブラック、ダークグレー、ライトグレー、ホワイトとすべて無彩色の色調でまとめ、既存を残す部分と明確に分ける計画とした。家具に関しても、その考え方は統一し、全体としてグレートーンのグラデ―ショナルなインテリアとしてまとめることで、既存と新規のインテリア計画を馴染ませるように計画している。

外観は、もともと2F、3Fに特徴的な水平連続窓があり、そのファサードを踏襲する形で、1F外壁の外側に被せる形でスチールの窓とゲートが一体化したサッシを水平に連続した窓のように設置した。正面からみると、水平連続まどが3段に並ぶ格好となり、古い要素と新しい要素が入り混じる新しい外観とした。


既存建物外観 水平連続窓と光沢のある外壁が特徴だった

ビルの谷間の大きな空が見える気持ちの良い屋上には、社員の憩いの場をつくりたいという施主からの要望からデッキと日除けのパーゴラを新設し、ビルが立ち並ぶ都心の中での風が抜ける心地よい憩いの場を設けた。デッキや目隠しのルーバー、家具も無彩色の色調でまとめている。

当初は更地にして新築することも視野にスタートした計画だったが、すべてを更新してしまうことは費用もかかるし廃棄物も多くなる。かといってそのまま利用するには、なんとなく古いイメージがつきまとってしまう。

既存の骨格やデザインを生かしながら、素材や色調を部分的に更新し馴染ませることで、ささやかながら街の風景を更新している。

所在地:東京都港区
規模:約300㎡+屋上
主用途:事務所
竣工:2021年5月
意匠計画:IYs-Inoue Yoshimura studio Inc.
照明計画:IYs-Inoue Yoshimura studio Inc.
家具備品計画:IYs-Inoue Yoshimura studio Inc.
施工:株式会社古崎
サッシフレーム:株式会社石田鉄工所

受賞:タカショー庭空間施工例コンテスト コントラクト部門 特別賞
メディア:DESIGNERS FILE 2022