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防火水槽の撤去工事

diary

IYs井上です。

あまり例の多くはない現場があったので、今後の参考のために書き留めたいと思いまして書いてます。

何についてかというと、「防火水槽」のことです。???防火水槽ってなんだという方も多いと思うのですが、建築現場を何百件も見てきた私も初めて出くわしました。この防火水槽。

防火水槽とは、消防の方が消火活動をするために水をためてある、貯水層のことです。今は、消火栓などで、貯水槽が埋められることは少ないようですが、昔はインフラが整っていなかったせいか、道路の下に大きな貯水槽を埋めていたようです。

今回弊社で進めていた住宅用地の下にも、この防火水槽が埋まっていたのでした。しかも、埋まっている状態が、敷地(角地なのですが)から道路にまたがるように埋まっており、これを取り除くために色々と順序だてて申請をすることなりました。

ちなみに、今回埋まっていた防火水槽は、50年近く前の古い情報しかなく、埋まっているものが一体どの大きさなのかも不明ということでした。わかっているのは、恐らく直径4.5m~5m程度で、深さ地面から5m弱というアバウトなもの。アバウトなものにしては巨大すぎます。

敷地や道路に余裕があればよいですが、周囲は3F~4F程度の住宅やマンションが立ち並ぶ密集地。この状況において小サイズの防火水槽を撤去するにはかなりのリスクもありますが、撤去しないことには始まらないので、取り除くことに。


試掘した防火水槽の天板がみえている

防火水槽を撤去する方法はいくつかありますが、今回私たちが選択したのは、自分たちの手配で撤去し、かかった金額を公費でまかなうというもの。自治体にお願いする方法もあるようですが、3年はかかるといわれ、、、そこまで待ってられないので、自分たちでの撤去を選択しました。

まずは、申請。

公費がからむと、手順もたくさんあります。消防を介して横浜市へと申請し、しばらく待って受理されてからの着工。見積もり内容や工期、工法まで色々とチェックされます。1か月程度して、申請が受理されまずは試掘。

試掘というのは、どこからどこまで埋まっているか不明だったので試し掘りを先にしてみるということです。そして試し掘りをした際に、判明したことは、道路の中に正体不明の下水管や水道管が埋まっていて、その下に防火水槽があるという事実。

防火水槽の方が古い時期に埋まっていたので、その後、恐らく登記をしないでやってしまったインフラ工事の管が何本も防火水槽の上を通過しているのでした。しかも、その防火水槽は、隣の家の近くまで迫って埋っており、全て撤去しようとすれば、隣の家を壊さないといけない状態に。。。

隣の家は壊すことはできないので、可能な範囲で防火水槽を切り離し残りの部分を撤去するという方法に切り替え、再度申請の変更をしていくことに。こうした公費での工事は、年度がからむので年度内にできない場合は、さらに来年度の申請となり、期間がものすごくかかります。


掘削している写真

色々と申請やら変更やらを繰り返し、ようやく着工となりました。着工すると意外とすぐに取れました。ただ、5mの巨大な穴。落ちてしまえば大変なことです。

昔のコンクリートなので、経年変化で緑色に変化しており、普通のコンクリートでは処分できず、別の産廃を捨てる場所まで運んだそうです。


掘削時の穴

埋め戻しは、改良土にて。公道側に残った防火水槽は、またいつの日にか自治体により撤去されるそうです。いつになるのかわかりませんが。。。

以上、防火水槽の撤去工事でした。

スムーズにいけば、2、3か月程度で申請できて着工できるのかなと思いましたが、今回は、不明なインフラの発見や予想外のことが多く起きたため、約半年かかりました。

その分、密な打合せをして施主様は喜んでおりました。なにより。

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