NEWS

家を設計するということ

diary

IYs井上です。

暑いですね。まだ7月ですが、アスファルトの上は灼熱です。目玉焼きが焼けそうな勢い。

さて、
先日、前職での仕事のつながりのあった不動産仲介の方(A氏)が独立されていて、
久しぶりに食事にいったのですが、とても嬉しい話がありましたので紹介します。

少々長くなります。m(@_@)m

話は、約7年前の前職の時のできごと。
私は、とある2区画ある分譲地の1つに5人家族のための注文住宅を設計していました。
場所は、東横線沿線の樽町という場所。
土地は、先ほどお話した不動産仲介のA氏が販売したもので、A氏のご紹介で私が設計担当をしていました。

ただ、設計が終わりに差し掛かるころに、施主主人に突然の辞令。
海外転勤が決まってしまったのです。。。
これから住めるという段階であまりの突然のことに、戸惑う施主家族と私。
施主夫妻は土地を売るべきか、建物を建ててしまうべきか悩んでいました。

仲介のA氏に施主夫妻が相談したところ、拘って打合せして設計したのだから、建ててから販売するほうが絶対に良いと思うとの推しの声もあり、
建物は通常通り建ててそれから販売する計画になりました。
程なくして、この建物を購入したいという方がA氏のもとにやってきました。

住宅を購入する場合は、住宅ローンを組むことが多いのですが、購入希望の方は諸事情でローンを組むことができませんでした。
しかし、購入希望の方はこの建物がとても気に入っておりまして、どうしても購入したいとのことで
ローンが組めるようになるまで約6年間賃貸として貸してもらって、
その後購入できるようになったら、ローンを組んで購入したいという申し出がありました。

ただ、仲介のA氏は考えました。
人の気持ちというものは6年もたてば変わることもあります。
途中で購入しないということもあり得るのではないか。。。
賃貸で住んでしまうと、中古戸建として販売することなるので、もし購入しなかった場合は
建物の価値は下がってしまします。

最終的には、購入者のあまりの熱意に不動産仲介のA氏も、購入希望者の想いをくみ取って、賃貸で貸し出すことに。

そして、つい先日この購入希望者のローンが無事に通り、賃貸で住んでいた物件を購入することになったそうです。
その仲介はA氏。6年越しの想い。
とにかくこの建物がどうしても欲しかったという想いが、6年越しの住宅購入を実現させたということをA氏より伺いました。

この出来事で、私が伝えたいと思ったことは、
例え自分のためであったとしても、拘ってつくった思い入れのあるものは、
かならずどこかの誰かにも伝わるということなのだなということ。

適当につくれば、適当に扱われるし、
思い入れをもって、丁寧につくれば、大事にされるのだなと。

自分が設計した住宅が、そうした想いでどこかで住んでもらっているととても嬉しいなぁと思う出来事でした。
長いこと設計していると、こういうこともあります。

色々な建物を設計しますが、設計に関わった住宅は延べ数百棟を超えました。
たくさんありますが、ほとんどが記憶にあります。
これからも丁寧に設計して良い空間を生み出し続けることで、
大切に使われる建物が増えるとよいなと思う話でした。

ちなみに、コロナで高く土地を購入した不動産ディベロッパーは、なかなか建売が売れず、困っているそうです。。。
建売も、拘って設計する時代がくると思います。

長くなりました。

―1から考える家づくり―
IYsは、心地よい、楽しい空間を1から考える設計事務所です。土地探し、建て替え計画、予算取り、悩みだすと何が正解だかわからなくなってしまう家づくり。相談は土地探しから随時受け付けておりますのでコンタクトよりお気軽にご依頼ください。