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何が違う??建築家とつくる家づくり

diary

IYs井上です。

まだまだ連休中方もいれば、お休みが明けて仕事がスタートしている方もいると思います。子供のころは夏休みは良い思い出でしたが、大人になって子供ができたりすると、夏休みは毎日子供が家にいることになるので、むしろ大変な時期になるという、逆転現象が、、、。良い夏休みは過ごせましたでしょうか。

さて、

私たち設計事務所は、日々様々な設計をしていますが、家づくりをする際の依頼先って色々選択肢があるので違いを聞かれることが多いです。

「設計事務所に頼むのって何が違うの??」

と思われてる方も多いと思います。

ハウスメーカーや地場の工務店、ディベロッパー等、それぞれ特徴があると思いますが、設計事務所と家づくりをすることで何が違うのかを、詳しく書いていきたいと思います。

まず初めに、設計事務所は、高級な家をつくるところ???、、、、、ではないです。

正確に言いますと、詳細な部分まで検討して1から建物の形状、部材、仕様を検討するという設計のみに特化した会社です。

(高級な物件をつくっているのは、ほとんどが設計事務所が絡んでいることは間違いないですが)



細かな部材すべてに拘りをもって、高い設備を使えば、結果的に費用が高くなります。。。が

適材適所で、費用を掛けたいところはかけて、

費用をかけないところは掛けないという取捨選択をすることもできますので

一概に費用が高いというわけではないのです。


「最も違うところはなにか?」

というと施工する会社から業務が分離しているという所。

これって何が良いの?と思う所もありますが、設計と施工が一緒になると、

●なるべく利益を出すように設計を簡略化したい

●現場監理は、現場まかせで人件費を削りたい

●コストダウンするために、工法や材料を規格化したい

と施工優先の発想になりがちです。私自身、施工側の会社に勤めていた経験があり、その気持ちはよくわかります。。。

設計と施工が一緒になっているメリットも多数あります。

●工期が読みやすい

●施工費がわかりやすい

等等

設計が分離していることで良いことは、施工者と施主との間に設計者が入ることで、

施主の要望を専門的に解釈して施工会社に図面化して伝えることができたり、

現場がしっかりと施工しているかチェック機能が働きます。

施主が直接施工者に要望を伝えることは、意外と難しく、施工者が「それはできないんです、、、」と言ってしまえば

他に行き場がなくなってしまうことも。。。

設計者が第三者として入ることで、より公平に建物ができる過程を見ることができるのです。

また、

「もう一つの大きな違い。。。それは、」



規格化されていないこと。です。

工法や素材、寸法を1から考えることで、特殊な敷地条件や法制限、

家族ごとの特別な要望に応えられることが多くなっていきます。

ただ、1から全てを考えることで毎回毎回1つ1つ考えなければならないので

施工の手間はたくさんかかります。

この点は、結果全く同じ建物をつくることになったとしても、

1から考えたほうが割高にはなりますが、殆どの場合は、施主ごとに特別な要望があるので

この考え方が生きることが多いのです。

天井の高さ、廊下の幅、収納の寸法、棚の枚数、、、考えられるだけでも無数にありますが、

そうした全体と部分を細かく調整することで、より要望にフィットしたオリジナルな空間をつくることができます。



「ハウスメーカーや工務店も1から設計するのでは??」

と思うところもありますが、

ハウスメーカーは、素材を大量に仕入れ、工法を規格化することで

施工にかかる手間を大幅に減らすことで、よい仕様の家を割安につくることができるという営業方法に寄っている部分が多いです。

なので、太陽光もついて、断熱も高性能、豪華なキッチンetc 

豪華なパーツを売りにしている所も多いかと思います。

ただ、設計という部分に関しては弱点も多く、あたりさわりない間取りで、

断熱や素材の仕様だけは最新鋭のものがついているという方向に進んでいきがち。

特に、間取りはたくさん検討しますが、断面的な検討はしないことが多いのも規格化されてしまうことの弱点でもあります。

「空間的な部分よりも、一般的な間取りで高品質なものが欲しい!」と考えている人は

メーカーの方がフィットするところが多いと思いますが、

そんなに高級な設備って本当に必要なのか??といったところもあると思いますし、

パーツが良くても全体の空間が悪ければ、暗い家になってしまったり、動線の使い勝手が悪かったり、、、色々なことが起こります。

「地場の工務店はどうか??」

施工する量は少ないですが、独自の視点で様々な工法を考えている所も多いです。

ただ、設計に関してはやはり一般的な所に寄ってしまうことが殆どです。

なので、工務店が設計事務所とタッグを組んでオリジナリティを出しているところも多くあります。

昨今、競合も多いですので生き残っている地場工務店は、施工や丁寧な営業されていて、設計力もある程度はあるところも多いです。

インターネットで様々な情報が手に取ることができますので、悪いところはすぐにわかってしまいますし

良いところは逆に仕事が集中するようになっています。



では、

「設計事務所に頼むデメリットってなに?」

と考えると、自分でいうのもあれですが、、、時間がかかります。笑

時間がかかれば、費用が増えるのは当然なのですが、

1から考えるので、ハウスメーカーが2か月で設計を終える所を、半年、長いと1年以上設計していることも。

細かな工事が増えれば施工期間も長くなります。



「何故長いのか??」

設計期間が長いのは、平面に表れない断面的な高さの検討や、部材の調整、

家具や照明の配置など、検討して施工者とすり合わせる所がとってもたくさんあるからなのです。

検討する方法も

模型・CG・図面、、、様々な方法を使って多角的に検討します。

ざっくりとした、空間だけつくるのは、正直半月あればできてしまうのですが、

1つ1つ、慎重に検討して施主とすり合わせていば、時間がかかります。

施工期間が長くなるのも、同じような理由。

毎回毎回異なる仕様、納まり、寸法、それらを事細かにすり合わせ、調整し職人さんに伝えていけば

その分時間は、長くなり手間もかかります。

一方で、そうして丁寧に考えて、丁寧につくられた空間は、

その家に入った瞬間にわかるくらいの違いがあります。

1本1本の線を検討し、寸法を調整し、色合いを調整した空間が持つ、

なんとも表現できない、空間の魅力とでもいえばよいのでしょうか。

こればかりは、実際に見てみないとわからない所もありますが、、、写真でも一部は伝わるように思ってます。



「拘ってつくることのメリットは?」

それは、長年設計に携わってきた、私なりの見解なのですが、

自分が日々満足できることが当然としてありますが、

建物の価値が長続きする、ということだと思っています。

単なる、見た目だけの新奇性だけに特化したようなものは違うかもしれませんが、

しっかりとした視点で、丁寧に設計されたものは、確実に価値が長続きします。

設計的な視点だけではなく、丁寧な施工も価値の長続きに反映されます。

価値が持続する家は、価格にも反映されます。

例えば、

ある建築家が設計した、築50年を超えた住宅をリフォームして住みたいという人がたくさんいたり。。。

日本の場合、土地の価値は下がりにくいのですが、

上物である建物の価値は、固定資産税の観点からみても20年位たつとほぼ「0」になってしまうという考え方。

かなり寂しい考え方ですが、設計事務所、建築家と一緒に建てるということが

少しずつ一般化してきた近年では、

一般的な建売や、メーカーがつくった家と、

設計事務所が入ってつくった、拘りのある住宅の価値の長続きの仕方がでてきているように思います。

住宅を購入するときは、住宅ローンを組みますが、

いざ、売ろうとしたときに、上物の価値がほぼ無いような価格になってしまう

という残念なことも多いのですが、

明るく心地よい空間は、時が経っても価値が衰えることはないので、

表面的な仕上げを直しさえすれば、とても長く使うことができるので、上物の価値が減りにくい

ということが言えるのです。

昨今の原価高騰で、すべての品物が高くなっている今、

イニシャルコストを安くするという発想から、

長く使うものにきちんと費用をかけてつくることで価値を持続させる

ということ発想にシフトすることが大切なのではないかと思うこの頃。

少なからず、家を作る時には、焦らずに様々な依頼先を比較することは、とても大切だと思います。

一方で、物の価格が少しでも上げ止まって欲しいと願っているこの頃です。

戦争早く終わって欲しいです。



最後まで読んでいただいた皆様、長文にて失礼いたしました。

―ワクワクを1から考える家づくり―
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