IYs井上です。
昨年引渡しを終えた、長野に移住された方の1年点検で、現地に伺ってきました。

こちら、冬はー15℃にもなる、極寒長野の地へ都内からの移住の家であったため、設計時から断熱計画については、かなり慎重に進めてきました。約1年が経過し、実際に計画した断熱がどの程度効いているかを、伺った話を基にレビューします。
まずは仕様ですが、
構造:木造在来軸組工法のほぼ平屋で一部2階建て
設備:床暖房なし、太陽パネル設置
熱源:ガスファンヒーター+壁掛けエアコン
屋根断熱:グラスウール 屋根36K280mm
壁断熱:壁36K105mm
基礎断熱:スタイロフォーム100mm、外周部50cm+隙間にウレタンフォーム
窓ガラス:アルミ樹脂複合 トリプルガラス(リクシルTW)
換気:第一種換気 マーベックスの澄家DC+上下階の循環ファンにて 小屋裏と基礎内を循環
気密:室内側に防湿フィルムを現場施工
UA値:0.3
特に外張り断熱等はせず、充填断熱のみで施工。
気密測定などは行わず、室内側の防湿フィルムと、基礎断熱周りの隙間にスプレーのウレタンを吹付したのみで
断熱による、大きな金額負担がないように、スペックしました。
以上の仕様から結論から言うと、
「冬場も全く問題なく、LDKに設置したサブエアコン1台+部分的なガスファンヒーターを短時間可動させるだけで、後は消している」
とのことでした。特に、冬場よりも夏場の涼しさに感動されておりました。
設計者としては、やっていなければわからない部分もあり、かなりドキドキしていたのですが、とても安心できました。
断熱がしっかりしていることで、保温力が高く、一度温まると、なかなか冷めないということで、電気代も以前と比べて高くなく、むしろ太陽光のおかげで安い状況ということでした。
設計者としては、屋根の断熱が280mmと厚くしたことが、ほぼ平屋の家だったので効果が高かったのではと考えており、また、大きな窓をトリプルガラスとしたことも、良かったと感じるポイントです。
やはり、熱を逃がさないということが、ポイントとしては大きく、設計としても南からの日射を最大限室内に入れるように、南に向けて配置したことも効果が高かったという印象でした。
寒い地域ですと、光熱費が高くなるので、灯油ヒーターが一番良いなど聞いたりもしますが、今回分かったことは、断熱がしっかりしていれば、熱源はエアコン+αで十分ということ。床暖房も必要がなかったことは、大きな収穫でした。
ハウスメーカーですと、そうした数値に寄った性能重視の建物が多いですが、私たちのような設計事務所でも、デザイン性を担保しつつ、断熱性能もしっかりと担保することが可能なのです。しかも、坪単価も恐らく大手HMよりは安くできたのではないかと。。。家は工夫次第です。
移住したご家族は、都内にいた時よりも幸福度が何倍にもなったということで、特に奥様は100倍幸せだと仰っていました。素晴らしいです。厳しい環境に住むときに、家が1つの拠点として持つ役割はとても大きいと感じます。屋久島の地杉の外壁は、いい具合に経年変化しており、今後が更に楽しみです。
―ワクワクを1から考える家づくり―
IYsは、心地よい、楽しい空間を1から考える設計事務所です。ご相談は、計画の初期段階でもZOOM等で随時受け付けておりますので、以下メールより気軽にお問合せください。m(@_@)m
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