WORKS

進行中の神奈川の住宅

Kanagawa,2025 house

OVERVIEW

神奈川で進行中の住宅。

夫婦と子供が住む住まいながら、それぞれに個別の趣味や仕事があり、起伏のある大きなワンルーム状の空間(共有部)と個室というシェアハウスのような空間構成を持った住まいだ。

敷地は北側道路接道で、南側には低層の住宅があり、1階部分の採光面での期待が取りにくいことから、2階をリビングとして採光をとることをベースにゾーニングした。中央に設ける大きな吹抜を玄関ホールとして、上部の採光を下階へと落とし、すり鉢状に広がる空間をつくることで住まい全体に光を届けている。

気積の大きな共有部には、空間的な凹凸があり、それらが趣味の場所やワークスペース、ダンスエリア、ダイニング、キッチンと多様な居場所を担っている。1Fの玄関ホール部分にもカフェのようなベンチやテーブルを置けるスペースを設け、家の中にいても、家族それぞれが、それぞれに過ごしながらも、なんとなく繋がりを感じられる距離感と、飽きることのない場所の振れ幅をスタディした。

また、南側の隣地の屋根越しに海が見えることから、スキップフロアとして床レベルを上げ、ダイニングのテーブルに座ると目の前に水平に広がる海が見えるように計画しそれぞれの場所から見える風景の多様性にも配慮している。

気積の大きなワンルームのようでありながら、個々のスペースは比較的小さな空間で、各居室の天井も2.2mと低く抑え、籠ったパーソナルな空間とした。他方で、そこから見える空間は広く見通しのある、明るく大きなワンルームだ。見えている空間とそこにいる空間のギャップは、開放的な居心地のよさと、空間の個別性両立させる。

今日のライフスタイルは多様で、従来のnLDK的な個室とリビングダイニングという二元的な機能分割では、そこに住む家族の活動を包括することができていないのではないだろうか、という疑問から、ここでは、大きなワンルーム状の空間と、小さな住まいにまつわる機能を、使い方を定義しすぎない空間的な起伏により解決することで、住まいの多様性や活動の振れ幅を受容できる、新しい住まいの形式を考えている。

地鎮祭を終え、着工を目前に控える。