IYs井上です。段々と寒くなってきました。早10月。運動会シーズンが過ぎると年末が見えてきます。。。恐ろしや。
さて、僕らの設計事例も新築からリノベまでさまざまストックされておりますが、作品1つ1つをより深く画像と共に解説していこうと思いまして
第一段。マンションのフルリノベーションの事例を取り上げます。
事例はこちら。
造作のキッチンをみる
築30年を超えた大きなマンションの1区画をフルリノベーションした事例です。面積は約145㎡とマンションにしてはとても広く。角部屋でした。
間取の変更前(左図)と変更後(右図)
計画の概要は、もともと個室4つと収納もたくさんある贅沢なつくりでしたが、マンション特有の廊下が暗く長いプラン。子供が小さいうちは、個室がたくさんあっても使わないので、できるだけ角部屋の採光を生かして、部屋ではなくLDKと繋がる大きな回遊廊下のような空間をつくりたいと考えました。
というのもの、マンションという性質上地上からは離れるので、自然との繋がりがどうしても希薄になります。僕らは、常々人が住むうえで、光や風や外の空気感というものを感じることが生理的にも必要なものであると考えているので、如何にしてマンションの中に自然を感じられるものをつくれるのかということを考えていました。
角部屋の採光を生かしたLDK
こちらのマンションは、リノベーションの制約がかなり厳しく、水回りの移動はNG、且つマンション組合との合意がないリノベーションはできませんでした。なので、本リノベーションを行う際には、住民説明会や、組合との話し合いがとても大変でしたが、なんとか守るべきところを守り、微小な水回り移動を許していただき、プランを大幅に変更しました。
造作キッチン
特にLDKは、元々リビングとダイニングは一体のよくあるマンションのLDKといった感じでしたが、リビングとダイニングの位置を別空間にして、それぞれ半独立した空間にしました。離すことで、子供や大人それぞれの空間ができ多人数で同時に家にいてもそれぞれの居住空間が確保できストレスなく使えます。
キッチンは、背面収納を大胆にとって、キッチンだけではない収納領域にしています。じつはこの収納の中には、家の奥の玄関側との空気の循環器もつけており、家の中で空気が窓側と奥の玄関側で入れ替わるようにしてあります。面材は、フェニックスという質感がしっとりとした高級感のあるメラミン素材。グレー色です。
背面収納には、ワインセラーや冷蔵庫、冷凍庫もビルトイン
ダイニングをみる
ダイニングは南側の一番良いポジションに。広いテーブルはIYsデザインのもの。空間のサイズに合うようにデザインしています。
壁のアートもIYsが選定しクライアントに選んでいただきました。
リビングには個性的なソファ
リビングは、ダイニングとは離れた場所に。壁の仕上げは特殊塗装で、2層にわけて別々の色を塗り重ねて奥行きをだしています。TVも壁掛け且つ、照明も仕込んでいます。見た目がよくないコントローラーなどは、TVの裏側の収納の中に。照明は、トーズ、ニューライトポタリなどを選定。
全体の色味は、ベージュ系のアースカラーとして、真鍮のゴールド色をアクセントに。
シューズインクロークの造作ロッカー
家具は木製の合板を白く塗装してふき取っています。
造作家具は大工さん造作。家具屋さんはキッチンや洗面をお願いして、木製家具は大工制作としてます。端部まで細やかな細工をしています。こうした小さな部分が全体ンお印象におおきく関わってきます。
鏡の額縁
サウナ
小さなサウナもあります。2人用。コロナで在宅ワークも多い昨今。リラックススペースが家の中にあるのは、いまや当たり前になってきました。メーカーはフィンランドサウナジャパン。メーカーの担当者もサウナマニアの方で、兎に角お勧めされました。サウナは排水もいらないのでとても簡単に設置が可能です。
洗面化粧台
洗面台は、廊下の一部に設置。洗面所は、一般的にはお風呂の手前にあって洗濯機などとおなじ箇所に設置されていることが多いのですが、生活感が出やすいのであえて廊下に設置することが多いです。こうすることで、洗面台がインテリアとなります。
緑の天板は、サイルストーン。その他メラミンの面材となっています。鏡は造作。照明はニューライトポタリ。かわいいブラケット照明です。
手元のタイルは平田タイルにて。
水栓は壁から真鍮色のものを選定。このあたりの器具関係もかなり選んで迷い決定しました。二転三転し最後にこの色合いに落ち着きました。
奥のドアは洗面所へ繋がります。フリースーペースもあり、室内物干しも可能。
こちらは、キッチン裏側のパントリーなどのユーティリティエリア。家族のバックヤードエリアです。
子供のためのフリースペース
こちらは、将来子供部屋になるフリースペースエリア。子供たちの遊び場です。部屋として閉じることも可能だったのですが、あえて廊下のような場所に。
奥には子供のためのWICが。
こちらは書斎。マンションの区画の形が若干いびつであったので、余白スペースでつくりました。ちょっとした家事や調べ物をするエリア。
脱衣、ランドリーエリア
お風呂の前は、脱衣件ランドリーエリア。汚水流しや洗濯機、乾燥機があり、広々と設えています。裏側のエリアですが、照明や質感にも拘り、日々の家事エリアが素敵な場所になるように。汚水流しは、サンワカンパニーのもの。洗濯機関係はミーレのものを使用しています。
トイレも、他のエリアとインテリアのトーンを合わせています。鏡や照明も、施主と共に選んだもの。奥様の拘りもたくさんあったので、何度もやりとりしました。
そして、エントランス。こちらは、玄関入ってすぐのエリア。大きなマンションの場合は、どうしても廊下が長くなります。ただ、その長い廊下を生かして、奥へ続くアプローチのような設えとしました。照明とベンチを兼ねたニッチが、アクセントとなり、視線を誘導します。曲面にしてあるので、緩やかに来客を中へ引き込むホテルライクな動線。
照明を仕込んでます。ベンチ背面は、LVLパネルを塗装し拭取っています。この造作も大工さんお手製のもの。ちなみに床材は、樹脂タイル。本物のタイルも検討しましたが、冷たさと転んだ時の危険性を考えて柔らかい樹脂タイルに。海外製のものなので、凹凸もあり本物と違いがわからないくらいです。掃除もしやすい。アドヴァンのもの。
窓は、既存のサッシの内側に木製の造作建具を設置。
リビングからフロースペースの方までななめに繋がる視線。
猫ちゃんスペース。よく上っているようです。
キッチンは、完全に家具屋さんに制作いただいたのですが、設計自体はIYsで基本プランをデザインし、細かな部分の提案を家具屋さんにしていただきました。
吊戸棚をおくにやったり、中に可動棚をつけたりと、機能性抜群です。
今回のリノベーションでは、既存の梁がとても大きかったので、上げ床をして下階への防音をする想定をすると、梁下で最低1.9mほどになってしまいました。かなり低いなと思うこともありますが、他の部分を最大限天井を上げて、配管等は既存の梁に抱かせたりして、高低差の起伏をつくることで梁下の低さをポジティブな起伏ととらえています。
そうすることで、個々のエリアの独立性が担保されつつ繋がりをもつ、回遊性のあるプランとなっています。そもそも広いマンションでなければ回遊性はだせないのですが、個室の取り扱いを少しかえるだけで、ここまで広く感じられる家がつくれるということだと思います。長くなりました。作品の掲載はこちらへ。
―ワクワクを1から考える家づくり―
IYsは、心地よい、楽しい空間を1から考える設計事務所です。ご相談は、計画の初期段階でもZOOM等で随時受け付けておりますので、以下メールより気軽にお問合せください。m(@_@)m
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