IYs井上です。
梅雨の晴れ間は気持ちよいです。あっという間に気が付けば夏。
IYs事務所がある北参道駅は、あたらしい国立競技場も近いことから、駅にはオリンピックの開催に向けた張り紙が階段や壁などたくさん貼られています。予算計上されているから、こういうのは粛々と遂行されるのだなぁと思いました。
さて、
弊社の設計事例がウェブマガジンの「100%LIFE」にて掲載されています。
私も取材に同行してきました。
駅から目と鼻の先くらいにある、中高層の住宅地に建つ住宅ですが、自然が好きなご家族から、自然を感じる住まいにとのご要望のなかで、周囲からの視線をきりながら、どうにか開放的で空や風が感じられる空間をつくりました。
お引き渡しした時期は、丁度コロナウィルスが蔓延してステイホームが日常となった時期でした。もともと多趣味だったご家族ということもあり、住まいの中に、様々な場所をちりばめ、ずっと家にいても飽きの来ないような設計をしていたので、在宅勤務で家にいることが多くても全く問題なく、快適に過ごせているそうです。
天井の高いリビング
リビングは2Fで、天井の高さが3.5~4m程度に傾斜した勾配天井になっています。窓は、ハイサイドライトを南側全面にとり、さらに北側にもワイド1.5m程度の大きな窓を2か所設けて、空がリビング上空に抜けるように設計してあります。
周囲の視線を切りながら、開放的な住まいに。
奥に続くキッチン
一方で、ダイニングキッチンは天井を下げた籠った空間に。キッチンは奥へと続き、奥様の家事スペース件、プライベートな書斎のような空間になります。洗濯機もキッチンと同じエリアにあるので家事もしやすい。
最上階のフリースペース
最上階にはルーフバルコニーがあり、その前室はフリースペース的な空間となっています。
斜線制限の関係で屋根の低い屋根裏のような空間に。リビングとは緩やかにつながっているので、子供の遊び場として活躍しているそうです。
1Fにある防音室
1Fは周囲の建物の関係から暗くなりがちですが、逆にご希望だった防音室を1Fに配置することで、快適な防音空間が実現しています。水回りも1Fに配置。
防音ルームは、本格的なスタジオ設計が得意なアコースティックデザイン施工のもの。細かなやりとりを防音設計側とIYsで密に行いながら工務店と一緒に現場を進めていきました。
このやりとりは意外と調整が大変なので、ハウスメーカーなどだと結構進行が難しくなるところでもありますが、設計事務所ならではの小回りの利いた打合せと現場調整を行っていきました。
お引き渡しした後も、お手持ちの小物や、買ってきた植物などを飾り付けて楽しんでいたり、防音室で趣味や仕事や、子供のウェブミーティングを行ったりと、出来上がった住まいの空間を余すところなく使いきっている感じは、設計者としてもとても幸せな気分でした。
コロナによって働き方や様々な価値観が変わってきていますが、住まいに関してもただ寝に帰る場所ではなく、くつろぎ、やすらぎ、しごとをして、寝る。といったマルチな機能が求められています。特に自然や屋外の雰囲気を感じられる空間という要望は、日に日に増していて、人間は本能的に外に出たいのだなと改めて感じています。
住宅や建築は、ある意味でステータスシンボル的な扱いのところもありますが、そういった他社に見せるものというよりは、使う人をより快適にするものとして変わっていくのだろうと思う今日この頃。設計者としては、そういった新しいタイプの建築を日々探しています。